「……見た記憶はあるけど、あの時は夕日が眩しくて……逆行で見えなかった」

「うそ、そうだったの?じゃ、本当は見てなかったんだ……?」

「でも……座ってた女の子の涙を流して微笑んでたのは覚えてる」


頬を伝う涙、その間に挟まれた唇は笑っていた。

でも、一人は立ってて一人は座ってるその状況を見て、普通じゃないと思ったんだ。


「二人は、歌乃ちゃんが見えてたの。あの日は……菜由が転校する少し前のこと」


……そっか、その時はまだ二年で、坂田さんもいたんだ。

でも、あたしが体験したことと照らし合わせると……。


紗夜衣が何かしたから坂田さんが転校しちゃったみたい。


実際、あたしと状況は似てる。

あたしの場合は紗夜衣が私立の学校に行く前だったけど、それがなかったらあたしは……。