小夜に何も言えないまま過ぎていく時間。

姉の歌呑にも、両親にも、もちろんキサにも何も言えないで……。


そんな自分が嫌だ。

信用してないんだって……信用出来てないんだって感じて、辛い。


過ぎてゆく時間の中で、あたしは成長できずにいた。

五月中旬、小夜の姉の霜夜さんの言葉で、そう思った。


「今日勝ちゃんの誕生日だから帰り遅くなるかも。小夜、お母さんに言っといて」

「うん、わかった」


誕生日……過ぎていく時は止まらない。

実際にあれから三年が経っているから。


でも、心はあの頃と変わってない。

心を閉ざしたまま……周りに心配をかけたまま……。


「……勝ちゃんて誰?」


今さらだけど、小夜に聞いた。


「霜夜姉の彼氏だよ」