~亜紀side~


私は、教室へと走った。


ガラッと教室の戸を開けると、私の幼なじみ…千莉が1人、座っていた。


「亜紀…?」


私を不思議そうに千莉は見つめる。


その態度に腹が立って、私は叫ぶように千莉に言った。


「もう、思わせぶりなことなんてしないで!!」


千莉の顔が珍しく驚いた顔になっていた。


「春が好きなのに、春と付き合えないんでしょ!?
あの時、春を助けられなかったから…春とは一緒にいられないって言いたいんでしょ!!
そんなの勝手にすればいいわ……!!
けど、それならそれなりの行動を取りなさいよ!!」


「……」


千莉は、私を見つめた。


「もう、あの子を泣かせないで……。
付き合えないなら、もうあの子を手放してあげて……。
付き合えないって言うだけじゃ、あの子は諦めないのなんてわかってるんでしょ?
それでも何もしないのは、春に甘えてるのよ……。
もう、やめてあげて……!!お願いだからっ…!!」