「千莉君」



聞き覚えのある声が上から聞こえてきて、パッと上を見上げた。



声の正体は春のお母さんで、少し顔色が悪いのは、影のせいなのか、それとも……。


「………おばさん………。
あ、の……春…は?」


声が出にくくて、必死に出しても途切れ途切れになる。


「大丈夫よ。命に別状はないわ。
周りの大人の人が、急いで救急車を呼んでくれたおかげね」



おばさんは、ゆっくりと俺の隣に座った。



春が助かった、と分かると力がぬけていく感じが分かった。


と、同時に後悔も溢れ出てくる。