『それは恋、だな。』
(...まじか...。)
電話越しの奏汰が言った。
モヤモヤしたままも嫌だったから、奏汰に
星野の名前は伏せて説明した結果が──
これだ。
「やっぱりそうなのかー。あー、まじかー。」
『おまえが恋するとはなぁ。あの時以来か。
で?その気になる子は誰だ?』
「......お前には絶対教えない。」
『はぁ?お前、アドバイスしてやってそれは
ないだろ!』
「うるさい。...今度何かおごってやるよ。」
『...!その言葉、忘れんなよ?』
「はいはい。...サンキューな。それじゃ。」
ピッ...
「...はぁ。俺が恋、ねぇ。」
目を閉じると、昔の記憶がよみがえる。
...あいつも自分のことより他人だったな...。
─元気にしてるのだろうか。
しばらくそうしていると、
コンコン...
「清水くん、起きてる?ご飯できたよ。」
時計をみると、短い針が12を指していた。
(...もうそんな時間か。)
「分かった、すぐ行く。」
ガチャ...
「あ、来た。」
「おう。悪いな。」
「...ううん。早く食べよ。」
「「いただきます。」」