6月の最初の日。今日も机は奴等の台紙になっていた。その時、後ろから、シャッター音が聞こえた。驚いて後ろを見ると、いつも暗そうで、ぼっちの貴大(たかひろ)がカメラを持っていた。
和市「なにしてんのさ……」
俺が聞くと、
貴大「お前、こんなんでいいのか?」
予想にもしない言葉が聞こえた。
和市「……じゃあ、どうしろって言うんだよ……先生だって知らんふりだ…」
貴大「これから奴に、美術の授業をしてやらなきゃな」
不適な笑みとマッキーペンをもち、奴の机に向かった…。
だが、落書きをするかと思いきや、ちゃんとした絵を描き始めたのだ。
貴大「ま、こんなもんだろ」
描き終えると、奴等が入ってきて机を見て笑った
生真(いくま)「おもしれーじゃん…」
そう言い残した。
それからその日はなにもなく、極めて安全だった。
帰り道、貴大と一緒に帰った。
和市「何であんなことしたんだ?」
貴大はしばらく黙って、「うぜーんだよ、あーゆーの」
としか言わなかった…。