年を越して1月中旬、渋川マネージャーは年也の自宅へ、年也「何の?話だろ?」渋川マネージャーはコンサートの日程について年也と麻衣、両親に話した、年也「オレ、歌手デビューするんだな」美佐恵「そうよ…」渋川「ここまでよく頑張ったな、16年だっけな」年也「うん…」麻衣「お兄ちゃんすごぃ」麻衣「お兄ちゃん、大勢の前で演奏するんだ」年也「オレ、嬉しくてさ才能ゼロでずっと必死に頑張ってきて」年也「何か?オレ」年也は涙が出ていた、声を出して泣いていた、年也「みんな…」麻衣「お兄ちゃん、泣いてる」年也「泣いちゃった」美佐恵「年也」渋川「これからだぞ」渋川「若山、自分で作った新曲、コンサートで自信持って歌え…」渋川「若山、パンクファッションに着替えてきいや」年也「うん…」年也が着替えていると、麻衣「お兄ちゃん、黒のボクサーパンツ似合ってる」年也「麻衣」年也はパンクの服にスキニージーンズに着替えてきた、美佐恵「決まってるね」渋川「若山、ステージに立つのにピッタリだな」年也「まぁね」渋川「オレも、若いとき歌手になりたくさ、才能はかなりあったんだよな、でもデビューさえ出来なかった、少し売れたんだけどな、100万円くらいかな、オレが歌手目指してた25年前より、ハードルは今の方がずっと高い」通晴「渋川さん…」美佐恵「才能もない年也をサポートしてくれて、ほんとに感謝しきれない」渋川「いいんですよ」美佐恵「渋川さんと初めて会ったのが確か、5年前でした」渋川「なつかしいな、不器用ながらも必死に練習してたな、その時直感で若山なら、歌手として成功するって思ったよ、才能を勘違いしている奴は多い。才能というのはちょっとだけスタートラインが前に出るだけに過ぎないってことなんだとオレは思う、才能は気休めみたいなものに過ぎない」渋川「才能の無い奴に抜かれたのはこれが初めてだぜ」麻衣「お兄ちゃん…昔からアタマのネジ抜けてるかと思ったけど、才能なしで16年掛かってまで、歌手デビューに持ち込むなんて私には絶対無理よ、とうに挫折してる、アタマのネジ全部抜けてる」年也「まぁね」麻衣「私は、そんなお兄ちゃん…尊敬してる」