一時間目、国語の授業。

今日はわりと得意な漢文なのだが、わたしはそれどころではない。

ちらちらと視線だけ動かして、みやのさんを盗み見る。

彼女は、ねこの絵を書いていた。

もったいぶらず、ノートいっぱいに小さなねこをたくさん。

思わず、はっと息をのんだ。

そのモノクロのねこたちの中に、昨日、わたしが落としたシャープペンの先っちょに
ついていたねことそっくりの絵がある。

なんで?

どうして?

あの一瞬でこのねこの顔をおぼえたんだろうか。