授業中にシャープペンを落としたとき、いつもは無口なみやのさんが、わたしに向かって

「はい」

と、ねこの頭がついたシャープペンを渡してくれた。

そのときのほほえんだ顔にびっくりして、わたしは思わず見とれてしまった。

うまくありがとうと言えたかな。

気になるところだったが、授業中ずっと、みやのさんのほほえみに心臓の鼓動が、とくとく、と音を立て、連立方程式なんて上の空だった。