目当てのショップの他に数店を小一時間かけてめぐった後、四人で地下レストラン街に行き食事をした。

 お小遣い制である高校生にはそれほどお金に余裕がない。勝や忠志はバイトしているが、一人暮らしをしていれば色々と出費はある。検討した結果、結局安さが自慢のファミリーレストランに腰を落ち着けた。


「夏になったらバイトしようっと。香苗もやろうよー短期バイト」

「そうね。色々欲しいものもあるしね」

「皆で海とか行こうよ」

「じゃあ、水着買わなきゃ! 香苗、一緒に買いに行こう!」

「ビキニ買ってね」

「ヤダー。勝くんのエッチ」


 琴美の甲高い声が店内に響きわたる。香苗としては周りが気になり、琴美のテンションの高さがやや鼻につくけれども、男子ふたりは琴美の笑顔につられるように笑ってる。

(でもやっぱり、琴美みたいな子がモテるんだよねぇ)

 もう少しテンションをあげないと、とも思うが、元来が姉気質の香苗は無邪気にはしゃぐということが苦手だ。
 楽しそうな琴美の隣で、小さなため息がこぼれた。