「碧のこと、かなり心配してたみたいだったよ。愛されてて羨ましい」

千亜希の言葉に、あたしの胸がチクリと痛んだ。


「でも、佐野くん怒ってた」

ぽつりとつぶやくと、千亜希が不思議そうな顔をする。


「は?何で?あんた、怒らすようなことしたの?」

「わかんないんだけど……」


佐野くんが心配して保健室に駆け込んできてくれたとき、あたしはへらへらと笑ってしまった。

でも走ってきてくれたってことは、あたしはまだそれほど佐野くんに嫌われてはいないってことなのかな。

そうだといいな。

だとしたら……


「謝らないと」

「え、何を?」

あたしは不思議そうな顔をしている千亜希に笑いかけると、小さく首を横に振る。

午後の授業が終わったら一番に佐野くんのクラスに行こう。

それで、謝ってちゃんと誤解を解こう。

あたしはそう決意すると、一人で小さく頷いた。