あたし、また何か怒らすようなことをしたのかな……

ただでさえ佐野くんのこと怒らせてて、嫌われてるかもしれないのに。

佐野くんが閉めていったドアを見つめながらしょんぼりとしていると、高崎くんがあたしの肩を叩いた。


「珍しく機嫌悪かったな、あいつ」

「うん。佐野くん、あたしのこと怒ってるんだよ」

ため息を吐くと、高崎くんが首を傾げた。


「何で?翠都とケンカでもしたの?」

「ケンカっていうか……佐野くん、あたしが昨日町村さんのことをわざとプールに突き落としたと思ってるみたい」

「何で?」


高崎くんが驚いたように目を丸くする。


「さぁ、あたしもわからない。でも、あたしが全然悪くないってわけでもないの」

あたしは高崎くんの足首に湿布を貼り付けると立ちあがった。

そして保健室の先生があたしの処置をしてくれるのを待つために、椅子に座る。

高崎くんは自分の処置が終わっても保健室を去らずに、あたしの処置が終わるまで待っていてくれた。