「クラスのやつらとサッカーしてたら、ちょっと捻っちゃって」

そう言って笑う高崎くんの足首は、少し青くなっていた。


「え、それ大丈夫?部活できるの?」


心配になって訊ねると、高崎くんがけらりと笑う。


「大丈夫、大丈夫。大したケガじゃないから。それに、来週から学校のプールには入れなくなるし」

「そっか」

あたし達が話をしていると、先着の女子生徒の対応をしていた先生が振り返った。


「あなた達友達?もしよかったら、ここに湿布があるから彼に貼ってあげて。もうすぐ昼休みも終わっちゃうし」


先生は壁にかけてある時計を気にしながら、あたしに湿布を渡してきた。


「あたしでよければ、貼ろうか?」

訊ねると、高崎くんがにこっと笑う。


「じゃぁ、頼んでいい?」

あたしは高崎くんの足元にしゃがむと、湿布のビニールを剥がし始めた。


「この辺でいいかな?」

「うん」

貼る場所を確かめるように手の平で高崎くんの足首に触れたとき、激しい音を立てて保健室のドアが開いた。