「とりあえず、保健室……」
あたしは呟くと、ケガをした足を庇うように歩きながら保健室に向かった。
保健室の前にたどり着き、ドアを開けようとするとスカートのポケットに入れていたスマホが鳴る。
出てみると、電話を掛けてきたのは千亜希だった。
「碧、今どこ?さっき佐野くんが一人で廊下を歩いてるのを見たんだけど、一緒じゃないの?」
あたしがなかなか教室に戻ってこないから、千亜希が心配して電話をかけてきてくれたみたいだった。
「あぁ、ちょっと転んじゃって。今保健室なんだ」
「え、大丈夫?迎えに行こうか?」
「うぅん、平気。ちょっと擦りむいただけだからすぐ戻るよ」
あたしは千亜希に笑ってそう言うと、電話を切って保健室に入った。