オフィスに出て仕事するようになってから、部下を抱え、営業と連携をとったりと、慣れない仕事が課長の身に降りかかった。

それでパンクして仕事に支障をきたす課長ではないのだけど、やっぱりいろんな面で影響は出てきているみたいで、そこでわたしが今まで以上に親身に課長のお世話をすることになったんだ。

今朝みたいに起こすのもそうだし、朝食もつくってあげるようになった。
それだけでなく、仕事の面でもサポートをまかされている。



「これが先日営業部で交わしたクライアントとの打ち合わせ結果と、それを踏まえて計画した企画書です。特に問題がなければ、二週間後には完成してほしいとのことですが」


わたしが差し出した報告書を眺めながら、課長は卵焼きを口に入れた。


「うん、これなら一週間でできるよ。あと、別のクライアントからのこの相談だけど、それもこの改良版でどうにかなるはずだから、営業に連絡しておいて」


「はい」


課長は今、新しいソフトの開発につきっきりなんだけど、それだけでなく既存のソフトウェアの改良もまかされている。
営業がクライアントから要望や意見を聞き、それを課長中心の開発課に伝える。開発課はそれを参考にソフトをバージョンアップしたり新しいソフトを開発したりする。

けど、いくら課長が敏腕とはいっても、何人もの営業から一気に報告を受ければ困惑するし、抜本的な改善案は見いだせない。


そこでわたしの出番だった。