「おはよう」

「おはようございます…。起きてるなら、からかわないでください…」

「ごめんごめん。抱き枕とられちゃったから寂しくて。…でも、こっちの方が落ち着くね」


耳元で聞こえてくる声は、心からほっとしたように吐息まじりに掠れていた。
耳から胸のあたりがぞわぞわして胸がきゅうと苦しくなる。
…どうしよう、このままじゃ、おかしくなっちゃいそう…。


けど。


すーすー


と寝息が聞こえ始める…。


「わ、わたしは抱き枕になれとまで部長に頼まれてませんよ!」

「…もう、ちょっと」

「社会人に寝坊は禁物です!」

「あと五分」

「だめです!」

「三ぷーん」

「あーあ、せっかくご飯つくってあるのに、冷めちゃいますよ」

「ご飯?」


課長の声のトーンがちょっとアップした。
よし、もうひと押し。