車の中にいた約三十分間、私達は終始無言で目的地まで移動した。
「到ちゃーく。」
「(予想はしてたけど、やっぱり金持ちだ)」
運転手に軽くお辞儀をした後、車を降り、一番に目に入ってきたのは大きな家。
一言で言えば
豪邸。
「こんなところに住んでるの?」
「こんなとこって、ひでぇな~。」
驚き過ぎて敬語が外れてしまったが、あちらも気付いてないようだし、よしとしよう。
私は真っ直ぐ、その大きな家に向かって歩いていた。
「おい、どこ行くんだよ?こっちだぞ?」
「・・・・」
あの扉は入口じゃないんだ。
門番もいるし、てっきり正門はこっだと思ってたけど・・・。
まぁ、取りあえずついて行くか。
「はい、到着。靴は脱げよー」
「・・・・・。」
そうして入ったのは、あの大きな家
の隣に建っている古い、小さな家だった。