――――「お兄ちゃん~!一緒帰ろ!」
放課後。
今日は手芸部はないのか、花梨は俺を迎えに来た。
そしてまた男子はチラチラと花梨を横目に見ている。
まぁ、可愛い、けどなぁ。
「じゃあな、帰るわ」
「おーよ、仲よし兄妹、じゃあな」
ひらりと手を振り、その手をポケットに突っ込んで歩き出す。
廊下を花梨と二人で並んで歩いていると、あちこちから視線を感じる。
「ねぇ楓、今日は寄り道しようよ」
まだ廊下で一目にもつくのに、花梨は背伸びをして俺の耳にこそっと呟いた。
誰も聞こえないからって、"お兄ちゃん"呼びやめてるし。
「また公園行くのか?」
「んーん、良いとこ見つけたんだ!」
きらきらと楽しそうに目を輝かせる花梨の頭をぽんぽん叩いて、了解の意味を込める。
そんな様子を見ているみんなは、どう思うだろうか?
でも、俺たちが付き合ってるなんて発想には至らないだろうな。