「なぁ雛、顔見せてくれよ。俺、心配で…」
だんだん小さくなるはるちゃんの声に、ぎゅっと胸が締め付けられた。
はるちゃんの腕に今すぐ飛び込みたいよ。
扉一枚隔てたこの距離がもどかしい。
先生と生徒って壁が、もどかしいよ…。
「はるちゃんごめんね、今は風邪引いてるし、うつしちゃうから会えないよ。明日は、行くから…。返事もするから」
だから、今日は帰って。
じゃないと、あたしは全部吐き出しちゃうよ。
「…わかった。返事も、明日来るのも待ってるからな。お大事に」
コンッと扉を叩く音がして、はるちゃんの足音が遠ざかってく。
「なんで…」
会いたい、そう思ってたのに。
会っちゃいけないって思った。