「加奈ちゃん……怒ってる？」
「もっちろん。前から気に喰わない女だったけど、もう話になんない。何様のつもりだっていうのよ」

ヤバい……。
加奈ちゃんは本気のホンキで、怒り出してしまったようだ。
いつも彼女は感情を怒りに支配されると、やたら饒舌になるきらいがある。
今が、まさにそうだ。

「おちついて……！　由実ちゃんは、そうやって悪口を言っても、自分は許されると思い込んでるんじゃないのかなぁ」

「何を根拠にそんなこと言えるわけっ？　自分は許される？　ホントに許されるかどうか、身を持って知ってもらおうか！」

ああ、もうイヤ。
口調が武士みたいになり、加奈ちゃんはブツブツとまだ何か言っている。
「加奈ちゃん！　大事なのは、締め上げることじゃないでしょ。由実ちゃんの毒牙から離れることじゃない？」