「だいじょぶって……ホントに?」
「うん……加奈ちゃん、朝はゴメン。わたし由実ちゃんがやっぱりこわくって……でも、ちょっと話したいことがあって」

少し、神妙な空気が流れる。
電話越しだっていうのに、お互いの重苦しい雰囲気はしっかりと伝わるものだ。
「いいよ。もう、気にしとらんから……。わかった。どこにいるの?」
「校門とこ」
「オッケ。すぐ行くで」
「じゃあ」

単発の会話が続き、最後は加奈ちゃんから電話を切った。
折りたたみのボディを力なく折り、わたしはポケットに電話を忍ばせた。

しばらくして、青かった空に黒い雲が出始めた。
風のふわっと吹き、これは一雨くるかもしれない、と思いかけた頃、加奈ちゃんは走ってやってきた。

「ごめん、何か遅かったね」
「全然、こっちこそいきなりゴメン」

朝に会ったきりだったからか、今日が長く感じたからか、久しぶりに会ったような気がした。