冗談でも、死ぬとか言ったり、考えたりしたらいけない。

「カケルくん。わたし、やめとく」
「えーっ、いいの?」
意外そうに、ちょっと心配そうにも見える。
きっと、一人のわたしを気遣ってくれたのね。

「だって、トシオも考えてみたら可哀想なんだもん。前の中学はマジメっ子ばっかりだったってのに、いきなりこんなトコにとばされて……多分、左遷だよね」

プッと笑って、わたしはトシオをかばう。
これは、本当に思ったことでもある。自信をもって、今まで人生を歩んできたのに、晩年(?)にこんな波乱があるなんて、哀れだ。

「そうかもな! ハッハハ……左遷か。いいコトいうな、左右田サン」
「そうかな」
「うん。センスいい!」
「ありがとう」

照れ笑いしながらも、カケルくんのおだてにこたえた。
カケルくんは本当にツボにはまったらしく、いつまでも笑っていた。