このクラスの友だちなんて、所詮こんなもの。
都合の良い時だけバカやって、お互い利用しているのが目に見えてて。
そんな頼りない友情だから、今わたしに優しい言葉をかけてくれる人は皆無。

「だいじょーぶ?」

帰りの会が始まろうか、という時だった。
低くて図太い、無神経そうな声。

……わたしは、顔もあげなかった。

「なに? カケルくんでしょ……」
「あ、わかるんだ。スゲー」
「べっつにぃ……分かりやすいの、その声」

どうして、この人はまたわたしに声をかけたのだろう。
今まで、殆ど話したこともないっていうのに。

「さんきゅー」
「ふふ、褒めたわけじゃないに」
「そうなん? わからんかったわー」
全くといっていいほど、意味をなさない会話。
だけどそれが、助かるというか、心地よい気がした。