パワーハラスメント。
これって、そういうことだよね。

覚悟? 何の覚悟だよ。
わざわざ聞くほど野暮じゃないけど、本気でそう言ってやりたかった。
どうせ、内申点がどうとか、生活態度で来年の受験に響く、とかその程度のことだろう。
悪いけど、わたしはそんなに優秀でもなければ、高校受験のことをしっかりと考えるナイーブな人格者でもない。

「ありますよ。どうぞ、勝手にしてください」

あきれ果てたのは、トシオだけでなくわたしもだった。
やがてしゃくぜんとしない風に、トシオは教卓へ戻り、わたしは丁寧にスカートを折って、椅子に腰掛けた。


気だるくてたまらない授業が、はじまった。
結局わたしは、髪の毛はそのまんまにして、机に突っ伏して一日をやり過ごした。
大丈夫、とか誰も言ってくれないのは、気楽なようでもあり、でもやっぱりものすごくむなしかった。