彼女がいない。
すなわち、今、好きな人がいないもしくは、好きな人と両想いでない、ということ。

藤田なおさん。
今野さんの片思いしてた人であろう女の人で、もう今は亡き人。
彼女の大きすぎる存在が、今も彼を苦しめているのだろうか。

「じゃあねっ」
「あ、バイバイ……」

今日はもう、由実ちゃんと会わなくても済む。
そう思うと、少しでもほっとしたような。

でも、今わたしの頭の中を支配しているのは、由実ちゃんとの決別、今野さんのこと、今野さんと藤田さんの関係、そしてK-F-Cだった。

教室にはいって、クラスの友だちと何気ない会話を楽しむ。
今のクラスは、去年みたいな大親友がいない分、面倒な友人がいるわけでもないので、どうということもなく、とにかく気楽なものだ。
むちゃくちゃ楽しくもなく、心配事もない、そんな感じ。
問題、といったら、トシオとカケルくんぐらいだ。