「つきあい、ワルー……」
相手を見下すような、独特の視線で加奈ちゃんをじっと睨んだ後、由実ちゃんはふっと笑うように息をはいた。

加奈ちゃんは由実ちゃんを断ったのに、わたしは加奈ちゃんを断ってしまった。

激しい後悔と嫌悪感に襲われながらも、わたしは尋ねた。

「由実ちゃんさ、今野さんのこと……知ってる?」
とたん、彼女の小さな顔がわたしに向けられる。
大きな目で、わたしを見つめる。
いや、これはもしかしたら、睨まれている?

「なんで? 知ってるの? もしかして、K-F-Cにでも入ったの?」
「ケーエフシー?」

口にして、わたしはおいしい鳥の姿を思い浮かべる。
でもどうやら、この言葉はそれを意味していないらしい。

「K-F-Cはね、今野先パイ(もしくは今野くん)・ファン・クラブの略よっ!」
「はぁ……それにしても、ケーエフシーって……」