「ふぅん……そんなに言うなら、余計怪しいってモンだけど……。瑞樹は、嘘なんてつかないからね」

「うっ、うん! あったりまえじゃん!」

何で、思ってることと逆のことを、言ってしまうのだろう。
由実ちゃんみたいに、もしくはその他たくさんの、普通の中学2年生みたいに、「わたし好きな人がいるんだ」とか言ってみたい。

加奈ちゃんに聞こえないようにため息をもらし、わたしは下駄箱で自分の上履きをとろうとかがんだ。

「みずきちゃん! おっはよぉ!」

甘くて、何かをねだるようなこの声は。

「由実ちゃん……おはよ。昨日は……ゴメンネ! ゆるして……」

加奈ちゃんが鋭い目で由実ちゃんを見ているのは分かっていたけど、わたしは気弱にも許しを請うことしかできなかった。
由実ちゃんは、一瞬キツい顔つきになったけど、またいつものにこやかな笑顔に戻っていた。