これまで、他人の恋をあーだこーだ思っていた、わたしが、恋。

口では否定してしまったものの、頭の中ではそうだこれは恋なんだ、と一方的に決め付けていた。

心だけでなく、身体全体までポン、と弾むようなこの気持ち。
こんなの、初めて。
あんなにドキドキしたのも、こんなに嬉しくてしょうがないのも。

これが、恋なんだね。
よくぞ、わたしのもとへやってきてくれた。
ウェルカム、ラブ。フォーリン、ラブ。
知っている英単語を並べ立て、わたしは自分に訪れた甘い初恋を祝福した。

なのに。

「加奈ちゃん……違うからねっ?」

あくまでも、声に出たのは恋を認めない、嘘みたいな言葉だった。
これが、あとでとても大変なことになるなんて、予想だにしなかった。