「そういう意味じゃないんだって。とにかく、加奈ちゃんも見れば分かるよ。今野さん、っていうの」

「今野さん?」

急に加奈ちゃんが足をとめ、後ろを歩くわたしは背中にぶつかってしまった。
あ、シャンプーのいい香り。
……トリートメントかもしれないけど。

「そう。加奈ちゃん、知ってるの?」
さんざめく胸。
どうして、ドキドキ止まらないのかな。

「……あたしは知らないんだけど……。どっかで、聞いたような」
「…………?」
「まっ、気のせいよね。そういう話は、由実とかのが詳しいんじゃない?」

「そっか!」

加奈ちゃんは直接、あの人を知らないらしい。
あの、インターネットを見た時と同じような安心感が、またわたしの心に広がった。