わたしがまだ3歳の時。
小さなアパートで生活を切り詰めながら、細々と暮らしていた両親が何を思ったのかはわからない。

もう、子どもも大きくなるのだから。
そういう、ことだろうか。

一人っ子であるわたしが幼稚園に入ってすぐに、両親はローンでこの家を買ったらしい。まだ幼かったわたしは、自分の大きな部屋を与えられて、すごく喜んでたように思う。
とにかく、今まで貧乏だった感じが、いっきにお金持ちみたいになったのは、今でもしっかり覚えている。

「いつかのために、節約していたのよ」
と、お母さんは語っている。

ちゃんと自室の鍵もあり、自分の部屋の鍵は自分しかもっていないものだとばかり、思っていた。
それが、マスターキーだって。
これからは大事なものはキチンとしまっておこう、と朝ごはんのしっかり噛みながら、考えていた。