「いいですね」
早くしゃべりたかったからかもしれない、わたしは気がついたら今野さんを見て、そう口にしていた。
「きれい……だよな。落日、っていうんだ」
「ラクジツ……?」
耳慣れない言葉に、わたしは復唱する。
「落ちていく太陽。ちょうど、今みたいな時間のことだよ」
「変わった単語……でも、とっても似合ってる感じがします」
「だろ?」
空だけじゃなく、わたしの顔も赤く染める夕陽が沈んでいく。
これを、ラクジツっていうんだね。
上目遣いに太陽を見て、何故だか急に切ないような、胸苦しい心持ちになる。
やがて、線は一本、地平線へと向かう。
そしてまた明日、何事もなかったかのように顔を出す。
分かっているのに、悲しい。
「俺は……いつも、この時間が楽しみでもあるけど……たまに無性に泣きたくなる。別に涙が出るわけじゃないけど、それに似た感情が俺を包むんだ」
早くしゃべりたかったからかもしれない、わたしは気がついたら今野さんを見て、そう口にしていた。
「きれい……だよな。落日、っていうんだ」
「ラクジツ……?」
耳慣れない言葉に、わたしは復唱する。
「落ちていく太陽。ちょうど、今みたいな時間のことだよ」
「変わった単語……でも、とっても似合ってる感じがします」
「だろ?」
空だけじゃなく、わたしの顔も赤く染める夕陽が沈んでいく。
これを、ラクジツっていうんだね。
上目遣いに太陽を見て、何故だか急に切ないような、胸苦しい心持ちになる。
やがて、線は一本、地平線へと向かう。
そしてまた明日、何事もなかったかのように顔を出す。
分かっているのに、悲しい。
「俺は……いつも、この時間が楽しみでもあるけど……たまに無性に泣きたくなる。別に涙が出るわけじゃないけど、それに似た感情が俺を包むんだ」