わたしが言うと、今野さんはへぇ、と嘆息し、
「俺って、そんなに老けてるかなぁ……」

「ちっ、違いますよっ。大人っぽいってことです」
すかさずわたしは付け加えた。これは、事実だから。
今野さんは、クラスや学年のガキっぽい男子なんかとは、比べ物にならないくらい、落ち着いていて、大人の雰囲気を持っている。

「そういうことか、安心あんしん」
「ふふ、で、何年生なんですか?」
「3年。オマエは?」
やっぱり、年上だったんだ。
「2年です」
「1コ下かぁ~、一番、中だるむ時期だね」

他人事みたいに、今野さんは言う。
去年まで、自分も同じ学年だったくせに。
「先輩こそ、受験生じゃないですか。大変ですね」
言い返してやった。
すると今野さんは、急に険しい顔つきになった。