「かっ、買ってきましたよっ!」
わたしはけもの道の先に、あの後姿を見つける。
傾きかけた日をあびて、まるで輝いているみたい。

「おー、さんきゅ、ご苦労」
言いながら、コンちゃんさんはわたしに顔を向け、ニコッと笑う。

そのまま走っていき、コンちゃんさんは座りながら手を伸ばす。
わたしはハイ、と渡してから、隣に何気なく座り込んだ。

「ん? オマエ、自分の分も買ったのか……」
「そうです。最近、暑いから。一日、2本は飲んじゃいますよ」
「飲みすぎだろ……太るぞ」

あきれたような言い方だけど、顔を見れば面白がっているのは、一目瞭然だ。
よかった、笑ってくれた。

プシュッと、景気のよさそうな音でプルトップを持ち上げ、口に缶を運んでゆく。
少し飲んでから、フウッと大きく息をもらす。
わたしもそれを横目で見てから、ストローを袋から取り出して銀色の差込口にプスッとさした。