自販機のコーラは既に売り切れのようで、通常紙パックのジュースを冷やしている冷蔵庫の中に、コーラを発見する。

夏場になると、みんながジュースを欲しがるため、こうやって人気商品は多く補充されているのだ。
一番奥の、いかにも冷えてますって感じのコーラを一本取り出して、冷蔵庫からカウンターのおばちゃんに目を移す時、わたしはミルクココアをサブリミナル効果のように、とらえた。

暑い日はアイスココア、寒い日はホットで。
わたしの大好きなココア。

迷った。
今頼まれたのは、この手に持つコーラのみ。
だけど、自分のお金で買うんだもん。わたしの飲みたいものも、一緒に買っていっていいんじゃない?

うなるようにして迷っていると、誰かがココアに向かって手を伸ばす。
ダメぇっ!
と、言ったかどうかは謎だけど、わたしは瞬時にココアを手中にしていた。
ハァハァ、と息を切らせながら相手を見ると、部活の大親友依未が、目をまん丸にして立っていた。