もう、そんな言い方しないでよ。
どうしてこんなにも、フレンドリーなの?
嘘を見抜いて、その場に一番見合ったきり返しをして。

この人は、きっと、ルックスだけじゃない。
二言三言話しただけで、わたしは絶対の自信を持っていた。
本当にいい人間は、少し会話しただけで本質が分かる。
わたしはそう信じているから。

「行ってきます。逃げないでくださいね」
「おう、オマエこそ、な。急げよ」
「ハイっ」
「いー返事だ」

そうして一旦、わたしはコンちゃんさんの元を離れた。
走っている間も、またあの人に会えるんだ、と思うととても嬉しくて、スキップにも似た足取りになっていた。

下駄箱を出てすぐにある購買には、たくさんの生徒が群がっていた。
軽音楽部の軽薄そうな人たち(カケルくんもこの部に所属している)、放課後の時間を持て余している女子生徒、休憩中の運動部員……などなど、種類も様々だ。