わたし、ちょこっとイラっとしながらも、多分この人に強く憧れている。
この気持ちに気づくのに、それほど時間はかからなかった。

さっき会った、まだどんな人かも分からない人に、どうしてこんなにも惹かれて、そして憧れるのだろう。

「確かにそうだな。キミは、どっちがいいわけ?」

ホラ、形の良い唇の角っこをニィッと吊り上げて。
やっぱり、気づいているんじゃない。
「どちらでも! そのかわり、第一だったら、追加料金ですよ」
「うん、そんでもいいよ」

……冗談だったのに。
まさか、それでも第一に行けと言われるなんて。

わたしの予想では、マジ? だったら購買でいいよ、とか言ってくれる展開だった。
だのに、だのに!

「ふふっ、オマエ、嘘で言ったんだろ? それぐらい、分かってるから。早く、購買行ってこいよ、待ってる」