「あのさ、少し歩くと第一公園あるじゃんか、そこの自販機のコーラね」
えぇ……? ほ、本気でぇ……?
第一公園、というのはこの中学から歩いて10分ほどの場所に位置する、かなり徒歩では遠い公園だ。
だけど、その公園の自販機は種類も多いし、何よりジュースがすごく冷たいので、何故か格段おいしく感じるのだ。

だけど。
今、購買でも売ってるだろうに、わざわざそんなトコまで、行かせるつもりなのでしょ
うか……?

「べ、別に学校にもあるじゃないですか」
「わかってないなぁ。あそこの、ウマイじゃないの」
「だけど! 人にモノを頼むっていうのに……」

いつのまにか、わたしは普通に話せるようになっていた。
心臓のドキドキうやバクバクは止まらないけど、変な緊張はどこかへ行ってしまった。

これも、この人の魅力の一つなのだろうな。
初めて会った人に、ためらいもなく話しかけて、そしてためらいもなくわがままを押し付ける。