母親のいなくなった赤ちゃんみたいに、コンちゃんさんはうつろにあたりを見回した。
でも、どうやら彼の知り合いはここらにはいないらしく、コンちゃんさんはどこかへ歩き出した。

どこに、どこを目指しているんだろう?
わたしの知らないところだろうか。
無意識のうちに、わたしはコンちゃんさんの後を追っていた。
気づいた時には、今まで通ったこともないような、草の生い茂るけもの道みたいなところを一心に歩いていた。

「あの……、そこの人。悪いけど、コーラ買ってきてくれないかな?」

わたしは最初、自分に話しかけていると気づかなかった。
だけど、あのアーモンドの瞳は、わたしに向かって微笑んでいる。