「うるせぇなぁ。いいだろ、別にぃ」
「まあなぁ、そんじゃ、気をつけて帰りますわ。じゃぁな!」
「……おう。それじゃあ」

お昼には高いところにあった太陽が、今はコンちゃんさんの後ろにある。
照らされたコンちゃんさんは、どこか寂しそう。
……気の、せいかもしれないけど。

「俺もいくよ、コンちゃん。ついてくる?」

派手でコンちゃんさん未満のカッコよさの人が、お父さんみたいに優しい目でそう尋ねる。

「いい。一人で、ぼーっとしてるから」
「そか。じゃ、明日」
「ああ、元気でな」

これも、またちょっと年寄りくさいかもしれない。
でも、言われた本人はあまり気にしていないようで、大またで別館に向かっていった。
下校していく生徒たちの喧騒の中、コンちゃんさんはポツンと取り残された。