「っ、お"、お"わっだぁぁああぁ……」

「はは、お疲れちゃーん」





なんとか今日じゅうに終わらせることが出来た。奇跡かもしれない。私、エライ。チョーエライ。





「じゃあ今日は頑張った葵チャンに、先輩が奢ってあげよう。何が食べたい?」

「いいいいぇ、そんな滅相もない」

「だーいじょぶ、だいじょぶ!遠慮すんなって」

「だって、だって……」

「ん?」

「篠崎さんのおサイフが泣いちゃいます」





結構真面目に言ったはずなのに、篠崎さんはブハッと噴いた。何がそんなにおかしいですか。




「あんさぁ、葵チャンほんっと独特の表現すんのな。聞いてて飽きない」

「……?」




首を傾げると、「まさかの無自覚か!」とさらにゲラゲラと笑った。そんなにおかしいか。腹がよじれるほどおかしいか。





「………はぁ、笑った笑った。お陰さんで腹痛い」

「知りませんよ」

「まーまー、それはさておき。晩飯どーする?近くの居酒屋とか?」

「私まだ未成年ですけど?」

「いくつよ」

「19です」

「ああー、まだ飲めないのかー。ま、そんな変わらんっしょ。居酒屋行こう!」

「え、ちょ、待って荷物……」




ワサワサと必要最低限の物をカバンに突っ込んで、先を行く先輩を慌てて追いかけた。





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「んで?さっきも言いましたけど、私未成年なんで飲めませんからね?」

「わーってる、とりあえず俺は生1つ。葵チャンは……」

「オレンジジュースで」

「オレンジジュース1つ」




あいよー、と気前のいいおばちゃんがオーダーをとる。流石に篠崎さんも、私と来てるせいかカウンター席には座らず、普通のテーブル席に座った。




「何食べる?俺相当、腹減ってんだけど」

「大丈夫です、私もですから。腹の虫が大暴れしてますね」

「………ふ、はは、それよそれ。ほんと俺のツボ」

「どれよどれですか」

「や、ヤメテ………腹筋割れる……っははは」




一人で勝手に腹を抱えて笑っている。年中頭が楽しい人ですか、そうですか。




「あ、私唐揚げ食べたいです」

「唐揚げ?好きなの?」

「大好きです」

「へー、そーなんだ。ちなみに俺竜田揚げ派。そんな変わんないけどな」

「ですね」




生ビールと、オレンジジュースが来ると唐揚げと、後適当に枝豆やらフライドポテトやらを頼んだ。





「さあ、今日は存分に食えー」

「そうですか、ならお言葉に甘えて」




ニヤリと口角を上げて不敵に笑う。私、こうなったら遠慮を知りませんよ?おサイフ泣いても文句言わないでくださいね。