雲ひとつない快晴の空とは対照的に、あたしの心は真っ暗だった。

結局昨日は遅くまで眠れずに過ごし、ようやくうとうとしだしたのは明け方のこと。


せっかくの初デートなのに、洗面台の鏡の中のあたしの顔は悲惨なものだった。


「おはよう」


待ち合わせ場所の、うちの近所のコンビニには、もう森川さんの車が止まっていた。

あたしは慌てて彼の元へ駆け寄る。


「おはよう……ございます……」


「どこ行きたい?」


その質問に、あたしはすっかり困ってしまった。

そんなこと、考えてられるような余裕なんて、昨日のあたしにはこれっぽちもなかった。


「そんなことだろうと思った」


困った笑みを浮かべたまま、黙り込んだあたしを見て――森川さんは優しく笑った。


「ごめんなさい……」


「いや、初めてのデートだし。おれがエスコートしないとね」


その言葉に、少しだけほっとしながら――あたしは、複雑な気持ちになっていた。


「乗りなよ」


その整った横顔からは――彼の気持ちが何ひとつ、読み取れないような気がしたから。