「おお――おまえの顔見るの、なんか久しぶりだなあ」


勇気を出してモ会の部室を訪れた、翌日の放課後。

一週間ぶりに会ったカイ先輩の態度が、あまりにも普通すぎて――あたしは拍子抜けしてしまった。


この前の“嵐”は、どこへいったというのだろう。

先日のことや、森川さんとのことを聞かれたりするんじゃないか、って、あたしは内心びくびくしていたのに。


「あ、部長からのお土産がテーブルの上にあるぞ。早いもん勝ち」


「……部長さん、どこか行かれたんですか?」


「就職の為の企業見学、みたいなヤツで県外まで行ってきたんだとさ」


へぇ、とうなずいて見た先には、もう残り少なくなったお土産のお菓子が置いてある。

いただきます、と、手をのばした瞬間――部室のドアが開いた。


「お疲れさまです」


開いたドアの先に立っていたのは、森川さんだった。


昨日の晩に、明日は学校が忙しいという話を聞いていたから、

てっきり森川さんには会えないのだとばかり思っていたあたしは、彼の登場にかなり驚いてしまった。