指名制メイドクレープカフェは、その奇抜さも手伝い、意外にも大盛況だった。

やっぱりお客さんは、若い女の子たちが多い。

純白のフリルエプロンのかかった黒いミニスカートからのぞく、すね毛ボーボーのおみ足に、きゃあきゃあと悲鳴をあげている。


「ワタシたちの中から選んでくださいませ」


一番人気は――森川さん。

その中性的な顔立ちが、メイド服によく映えている。

物腰も柔らかくて、その微笑は、見事にお客さんをとりこにしている。


No.2のリュウくんは、キツめの美人って顔が人気らしい。


「おい薫!出番だぞー」


「あ、はい……!」


あたしは、男性客の時に表に呼ばれる。

普段は裏方をやってるほうが、やっぱり気がラクだから。


男性客の一番人気は一応あたしのようだ。

しかし、どうにか死守しているその立場とプライドは、森川さんとリュウくんによって脅かされているのだが。


「おまたせしました。チョコバナナクレープでございます」


リュウくんの不機嫌そうな声……あれって今流行りのツンデレなんじゃ……(あ、でもリュウくんには“デレ”がないか)。