あまりにもあっさりと話が進んでしまうので、あたしはなんだか妙に不安になっていた。


「じゃあリュウと薫はメイド服で男性客担当。おれらは女の子担当だな」


カイ先輩の笑顔に、めざとくツッコミをいれたのはお兄ちゃんと高橋さん。


「おいカイ。おまえちょっとヤラシイこと考えてただろ」


「カイ先輩、絶対、好みの女の子見つけようとしてますよね」


「違うよバカ!おれがそんなことするわけないだろ〜」


完全に目が泳いでいるカイ先輩の横で、ふくれっ面のリュウくんが叫んだ。


「おれはメイド服なんて絶対いやだ――!!」











みんなの笑い声が響くなかで、あたしはひとり取り残されたようになっていた。


「どうしたの?」


そんなあたしに気づいたのは、森川さんだった。


「だって……部の行事に、あたしみたいな部外者が入っていったら――なんだかみんなの、邪魔しちゃうみたいで」


そんなあたしの不安を、彼は見事に取り払った。





「だって――中林さんは、もう立派な“部員”でしょ」





カイ先輩が、またあたしの頭をぐりぐりとなでる。


「おまえもリュウも、大事な部員だよ」