「ところで」


急にカイ先輩がこちらを振り返った。


「薫、おまえ学祭はメイドな」


「……はい?」


「おまえは、男性客が来たときにクレープ焼いてやれ」


「なんであたしが学祭に参加してるんですか」


「あれ?学祭期間、なんか用事あるの?一応土日なんだけど」


そういうことじゃない。

部外者のあたしが、学祭期間中にモ会のみんなと行動するのは、なんだか気が引けてしまう。


「あ、リュウ。おまえもメイド服着ろ!そしておまえも男の相手をしなさい」


「なんでおれが……っ!!」


「いいかもなあ。薫ちゃんひとりメイドじゃ恥ずかしいだろうし」


「いやだ!おれはぜっっったいイヤだからな!!」


まごまごしているうちに、あたしはしっかりと、参加するほうにカウントされている。


「で、でも――学校とかにバレたら、やばくないですか……!?あたしみたいな部外者がいたら」


「バレないバレない。おれらの顧問も、形式だけの存在だから。見にくることもないし」