手を広げて、指で“7”としてみせたから、きっと7万で買ったということなのだろう。


「7万で買えるんですか!?」


「車検ナシだったから、結果的には一番お金かけちゃったけどね。今までの車は車検一年つきで5万、とか」


頑張ってお金を貯めれば、あたしでも買えてしまいそうな金額に、あたしは思わず笑ってしまった。


「安いんですね。やっぱり車は安さが決め手?」


「だよな。学生のうちしかこんなに遊べないし、金がないから安い車が一番だよ。ぶつけても悔やまんし」


そこでカイさんは、でも……と、小さく付け加えた。


「このローレルは高くついたほうかも。今までのおれならたぶん買ってない。サユリが、これがいいって言ったから」


久しぶりに意識させられたその名前に、あたしの心臓はビクンと跳ね上がった。

あたしの座る助手席は、サユリさんの為だけに用意されていたものだったのだと、改めて思い知らされる。