「森川さん……」
それは――ちょっとだけ、あたしの苦手な人。
「大丈夫?」
その人は、また同じ言葉を繰り返した。
「あ……大丈夫です……」
「そう」
森川さんは、静かにあたしの目を見つめたあと、くるりと踵を返して、部室の方へと歩いていった。
その後ろ姿を、あたしは唖然としながら眺めていた。
なんで――森川さん?
その思いしか、浮かばなかった。
それくらい、あたしにとっては意外な人だったから。
ガレージの手前に置いていたあたしのカバンの上に、何かがのっている。
「タオル……?」
それは真っ白なタオルだった。
まさかとは思うけれど……これって、森川さんの?
ふわふわしたタオルはほんのり暖かくて、顔をうずめると、甘いにおいがした。
柔らかな感触に、思わず心がゆるんで、止まったはずのなみだがまたあふれ出した。
不思議な気持ちに――あたしはただただ、戸惑うことしか出来なかった。
それは――ちょっとだけ、あたしの苦手な人。
「大丈夫?」
その人は、また同じ言葉を繰り返した。
「あ……大丈夫です……」
「そう」
森川さんは、静かにあたしの目を見つめたあと、くるりと踵を返して、部室の方へと歩いていった。
その後ろ姿を、あたしは唖然としながら眺めていた。
なんで――森川さん?
その思いしか、浮かばなかった。
それくらい、あたしにとっては意外な人だったから。
ガレージの手前に置いていたあたしのカバンの上に、何かがのっている。
「タオル……?」
それは真っ白なタオルだった。
まさかとは思うけれど……これって、森川さんの?
ふわふわしたタオルはほんのり暖かくて、顔をうずめると、甘いにおいがした。
柔らかな感触に、思わず心がゆるんで、止まったはずのなみだがまたあふれ出した。
不思議な気持ちに――あたしはただただ、戸惑うことしか出来なかった。