これでも――先輩のこと、一生懸命見つめてきたつもり。

カイ先輩が考えてる以上に、あたしはあなたのこと……わかるんですよ?


「薫!中に来いよ!みんなゲームしてるぜ」


「あ、はい……!」


あなたが――強がってるの、わかるんです。

その笑顔も、いつもと変わらないような声も、ため息を途中で飲みこむのも……全部ぜんぶ、無理してる。


部員のみんなとはしゃいでゲームしてる姿が、あたしにはあまりにも痛々しく感じられて――あたしは静かに部室を出た。

無理に笑うカイ先輩なんて、見ていたくない。



その時、あたしは心から思った。

――もう、やめてしまおう。


強がって、無理して明るく振る舞う先輩の姿を目で追う自分を、

もうひとりのあたしが、まるで幽霊になったみたいに客観的に見ている。


こんなに傷ついた人を想い続けて――あたしはほんとうに幸せなのだろうか。

これで、心は満たされているのだろうか。


サユリさんには勝てない、劣等感のようなものが胸の中に渦巻いて……吐き気がした。