なんだか、どっと身体が疲れたように重くなり、頭の奥をちくちくと突き刺すような痛みがまた蘇ってきた。

頭の中がぐらぐらして、景色が回ってるみたい――とてもじゃないけど、学校なんて行けそうにない。


「学校行くなら、送ってやるぞ。昼までは空いてるから」


そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか、兄貴はコントローラーを握りしめたままつぶやいた。

指だけはしっかり動かしてるのが見える。


お兄ちゃんは悪くないのに、あたしは無性にむかついて――食べかけのおかゆをそのままに、席を立った。


「――行かない」


「え?おまえ、今日も休むの?」


悔しさと嫉妬でイライラしてるこの気持ちを、お兄ちゃんにやつ当たりしてしまいそうだったから、あたしは何も言わずに首だけをふった。

どうせ、ゲームしてるお兄ちゃんはこっちなんて見てないだろうけど。


「そういえば」


するとお兄ちゃんが、こちらを振り向いて言った。


「カイが、心配してた。おまえの具合」


「…………」


あたしは少し迷って、小さな声で答えた。




「……“元気になった”って……言っといて」




すっかり、鼻声になっていた。