まだだるさの残る身体でリビングに行くと、案の定お兄ちゃんが朝っぱらからゲームをしていた。


「おはよ……元気だねぇ、こんな朝早くから」


「おう、おまえ生きてたのか」


「……なんかむかつく」


台所に用意してあったおかゆと梅干しをリビングのテーブルに運んでいると、

テレビの前のソファから、お兄ちゃんがこちらに身を乗り出して話しはじめた。


「――カイが、サユリちゃんと別れたんだってな」


「あれ?知らなかったの?」


「全然。たぶん部員全員知らねぇよ。知ってるのおれぐらい」


意外な言葉に驚いてしまい、うっかり熱々のおかゆで口の中を火傷してしまった。


「おまえ……知ってたんだ?」


「うん――草刈りの時かなんかに、聞いた気がする」


できるだけ無関心を装おって、あたしはおかゆを口に運んだ。


まさか、部員の中でカイ先輩と一番仲いいお兄ちゃんでさえも、ふたりが別れたことを知らなかったなんて。